-凌ぐとは、足りることを知ること-
凌 あれやこれや
凌は美学
1988年の設立以来、日本のアウトドアブランドとして長きに渡って物作りを続けてきたアクシーズクインが手掛ける凌の衣類や道具は、欧米のアウトドアブランドはもとより日本の他のアウトドアブランドにもない独自の発想で、四季のある日本の低山、つまり森林限界以下の山を歩くことを考えてデザインしています。そしてそれらに、古くから日本に伝わる意匠や色彩、言葉の響きなどを取り入れることで、時代や生活様式が変わっても変わることのない日本らしさを表現しています。こうして生まれた凌の衣類や道具は、所作や立ち居振る舞いの美しい人に使ってもらうことでひときわ引き立ちます。それらを備えた人の着こなしはきっと美しく、シルエットを見るだけでも凌らしさ、日本らしさを感じることができるでしょう。山にはひとりかできるだけの少人数で入ることを心掛けたいものです。獣にも気付かれないくらい静かに行動し、その痕跡を残さないことも大切です。にぎやかな宴や自慢話は無用です。凌・低・雨・雲・汗・臭・壁・湿・寒・濡・暑・闇・炎・宙・月・風・難・無・渓・藪・草・木・茜・静・寂・揺・煙・孤・・・、山の美しさ、山の厳しさとひたすらに向き合い己を知ることが凌であり凌の美学です。
凌ぐことは足るを知ること
山では雨に濡れないようにすることが重要ですが、森林限界以下の日本の低山では雨だからといって完全防水のレインウェアを着ることが必ずしも正解とは限りません。雨の降り方、その時の気温や風の吹き方によっては撥水性のあるシェルでも十分に凌げることもあります。雨に濡れないことと同じ様に汗を掻かないように歩くことも大切ですが、たとえ標高が低くても急峻な地形の多い日本の低山で汗を掻かずに歩くことは難しいでしょう。そうなると汗を掻いてもそれをどう凌ぐかという事が課題となります。
雨を凌ぐにはまず雨を感じよう。
汗を凌ぐにはまず汗を感じよう。
風を凌ぐにはまず風を感じよう。
寒さを凌ぐにはまず寒さを感じよう。
山歩きに必要なことは過剰な防御をすることではなく、受け入れて対処することだと考えます。それは足るを知ること、つまり、このくらいで十分凌げるという加減を知って、身体のパフォーマンスを落とさずに歩き続けられる術を身に付けることです。それには四季の移ろいや気まぐれに変化する天候に自分の体質を照らし合わせて最適な衣類を選ぶことが重要です。汗の掻き方や寒さの感じ方などは人によって違うので選ぶべき物も人によって異なります。自分に合ったものを正しく選べるようになるには経験を積み重ねるしかありませんが、凌の販売店や凌のイベントで相談していただければ適切なアドバイスをいたします。誰もが着ている物や評価が高い物が必ずしも自分に合うとは限りません。大事なのは自分に合う物を選ぶことです。凌の衣類や道具のひとつひとつは決して過保護ではなく万能でもありません。それらの強いところも弱いところも理解していただいた上で最適なアイテムを選んでもらいたいと考えます。
四季の山を歩き、思い、創造する
私たちは、春夏秋冬、雨天晴天に関わらず、できるだけ山に出かけて継続的に商品テストをおこなっています。一度かたちにしたから完成ということではなく、既に販売している商品もテストを繰り返します。防水性、通気性、吸汗性、保温性などの素材の特性については、素材メーカーの売り文句や検査機関における試験結果を鵜呑みにせず、実際に使ってどう機能するか?どう感じるか?を知るためにテストを行います。こうした数多くのテストを通して感じた着心地や使い勝手をウェブサイトやイベントの商品説明に反映させて、商品の特性ができるだけわかりやすく正しく伝わる様に努力しています。また、継続的にいろいろな条件下でテストを繰り返すことによって新たな創造の手がかりが見えて来ることもあります。ツユハラヒ、アグラスカート、凌ピッケル、ウキグモなど、凌ならではの独自の発想の衣類や道具はこうした経験があったからこそ生まれたとも言えます。
シノギング
シノギングとは、地形図上の目星をつけたポイント(これを別荘と呼ぶ)まで、自分でルートを考えて地形図とコンパスを頼りに尾根や渓を歩く山歩きのことです。道標に導かれて山頂や名勝を目指す一般的な登山やハイキングとは違い、地図読みをしながら自己責任で自分が決めたポイントを目指します。地形図にコースタイムが記されているわけではないので、どのくらいの時間でそこに辿りつくのかを自分で予測する必要があります。壁のような急斜面、身動きが取れないほどの藪、ヤセた尾根をふさぐ大きな露岩など、地形図からは想像できない難所に出くわすと体力も気力も減退してしまうことがあるので、あまり長いルートを設定することはありません。また、設定したルートが想像以上に厳しい場合や天候が急変した場合には無理をせずに予定を変更する判断も必要です。シノギングでは万が一の場合を除いてGPSや山のアプリを見ることはなく、地形や方位などの情報を地形図に照らし合わせ現在位置を仮定しながら行動します。一時間ごとの小休止や楽しい昼休憩などを取ることはなく、行動食で凌ぎながらゆっくり歩き続けるのもシノギング独特のスタイルです。無事に別荘に辿りついたら木立の間隔、地面の傾斜、風向きなどを考えて最適な場所にハンモックを張り、天候に応じてタープも張ります。そして一人暮らしのアパートのように自分の手の届く範囲に必要な物を広げてのんびりします。日帰りできるルートにもかかわらずハンモックにゆられて一夜を凌ぐというのはシノギングならではの楽しみでしょう。せっかくの静寂を台無しにしないよう食事を作ったり暖をとったりする時にはウッドストーブを使い、ハンモックに横になるまでの時間は火のお世話をしながら静かに過ごします。シノギングでは最後の最後で難所に出くわすということも珍しくないので、そういうときのために体力と気力を残しておく必要があります。体力と気力に余裕がないと正しい動き正しい判断ができなくなってしまうからです。人に頼らず自分ですべてを考えて行動するシノギングをすることで、おのずと山歩きに必要とされる多様な知識と技術が身に付き、そのことが遭難しない安全な山歩きにつながります。
シノギングイベント
凌を知りシノギングを体験する場として、アクシーズクインが開催する本拠地東京のシノギングイベントと、凌アイテムの販売店と共同で開催する出張シノギングを行っています。初めての人でも参加しやすいように入門レベルのいくつかのテーマを設けているのでシノギングに興味のある方はぜひ参加して下さい。誰もが初めから一人で山を歩けるわけではありません。誰もが初めから道具の使い方がわかるわけではありません。まずはシノギングイベントに参加して山歩きに必要ないろいろなことを体験してはいかがでしょうか?開催時期やテーマに合わせた商品のお試しも行っているので、個性的な凌アイテムを「まずは使ってみたい」という人にうってつけのイベントです。東京のシノギングイベントの告知と募集は凌ウェブサイトの手記ページで、出張シノギングの告知と募集は開催地の協力店舗で行っています。
凌を感じる空間、高尾ハナレ
シノラー(シノギングをする人をこう呼ぶ)のためのお休み処、凌アイテムの展示サロン、凌アイテムの企画拠点といった役割を持つのが「高尾ハナレ」です。東京シノギングのホームといっても過言ではない、高尾山の主尾根から派生する金毘羅尾根の端の端に「高尾ハナレ」はひっそりと佇んでいます。南高尾、北高尾、裏高尾、奥高尾へのアクセスも良く、東京の西の横綱八王子市にありながら豊かな自然を身近に感じることができます。
お休み処としての「高尾ハナレ」
築五十年を超える木造平屋は、夏は暑く冬は寒いかもしれませんが、シノギング帰りの皆さんのくつろぎの場所として、また情報交換の場所としてご利用いただけます。シャワーとお風呂も利用できるのでシノギングの汗を流してゆっくりして下さい。
展示サロンとしての「高尾ハナレ」
季節ごとの新作から定番商品まで凌の商品をフルラインナップでご覧いただけます。気になる商品を実際に手に取って試着していただくこともできます。商品についてわからないことがありましたらハナレ番の企画スタッフにお気軽におたずねください。限定品や一部商品の販売もしています。
創造する場所としての「高尾ハナレ」
東京神田の本社から電車で一時間、凌の企画拠点として高尾ハナレはあります。めぐる季節の移ろいを感じながら、シノギングフィールドに直結するこの場所で、ニッチでインディーズで叙情的な凌アイテムが生まれています。
高尾ハナレは企画業務をする場所でもあるため、通常は一般のお客様をご案内することはできません。一般のお客様を対象とした高尾ハナレの開放日は、凌ウェブサイトのブログページで告知をしておりますのでそちらをご確認ください。
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